港運大先輩×後輩

  • H.H

    横浜支店港運グループ
    港運グループでの長い経験から得た豊富な知識で後輩たちをサポートしている。

  • N.M

    本店港運事業グループ
    関西出身の港運大先輩。中国大陸での駐在経験もありH.Hさんとは長い付き合いでもある。

  • K.T

    本店大井事業所グループ港運チーム
    コンテナターミナルでの業務がメインだが先輩方の経験談に興味津々。

  • I.K

    本店港運事業グループ港運統轄チーム
    先輩の外地での輸送話はここでは有名な話。

※2016年12月掲載当時の内容です。株式会社ユニエツクスは株式会社ユニエツクスNCTの前身となります。

大先輩が語る国外へのRTG輸送。
9年前、台湾の高雄(カオシュン)で行われた武勇伝から
後輩たちは何を得るのだろうか…。

技術と経験を買われての海外輸送
期待の大きさと比例して背負ったプレッシャー

H.H9年前、RTG(※注1)を日本から台湾の高雄へ輸送して欲しいという依頼が、あるメーカーさんから来ました。
それまでに自分自身、RTGを国内で輸送した経験は何度もありましたが……、実は当社が海外へ実運送(※注2)を行うのは、その案件が初めてだったのです。

N.M初めての海外へ自分たちで輸送を行うということで、ある意味いろいろな人から関心は持たれたけれど、失敗はできないというプレッシャーはありましたね。

H.H国内、国外を比較すると、国外での荷役のほうがより難しくなります。ある程度は、当社が国内で技術と実績を持っていたことが評価され、起用に至ったのかと思います。

N.M2、3カ月前から準備を進めて、一度、H.Hさんと私のふたりで台湾に事前調査のため下見に行きましたね。

H.H一番良いタイミングで陸揚げすることが重要なポイントになりますので、「潮汐による岸壁の高さと船の高さの検討」、「どのくらいの潮汐と潮差があるのか」、「岸壁の高さはどれくらいなのか」という3点を調査することが目的でした。
また、よい港であっても作業できる人間がいないと成り立たないため、現地で作業を行っている人たちと繋がり、「こういう荷役をやりたいので、協力していただけないか」と話にも行きました。

N.Mふたりとも入社当時は、関西の海務課でフォアマン(※注3)として働いていたので、長い付き合いになりますね。

I.K国内でのRTG輸送は、K.Tさんと私も京浜港での作業で携わっています。

  • 注1:コンテナターミナルのヤード作業(コンテナの受け渡しや積み下ろしを行う場所)で使う機械のひとつ。
  • 注2:自ら輸送手段を保有して貨物の運送を行うこと。
  • 注3:荷役作業全体を指揮する監督者。詳細についてはこちらから>>

勝負は「あるもので安全かつパーフェクトにやる」
万全の準備と試行錯誤で見つけた突破口

H.H国内間の輸送であれば、潮汐の差があって作業が行いやすいのですが、高雄の場合はあまり差が出ません。そのため、いつまで待っていてもよい高さにならない(苦笑)。

N.Mその問題を解決するポイントとなったのは、バージ(※注4)でしたね。バージに注水して少し船を沈めました。日本では岸壁から水が取れるのですが、高雄には無かったので、別の給水船で水を持ってきました。

H.H給水船からバージに水を移し替えてバージを傾斜させました。あまりに角度が急であったため、RTGが降ろせず、ランプウェイ(※注5)の取り付けを工夫し、角度を調整して、RTGを陸揚げしました。

N.M日本だと必要の無い作業ですが、海外だと岸壁に給水できる施設もないところがあり、このような作業も必要になりました。

K.T給水船は、現地の代理店が手配してくれたのでしょうか?

H.HN.Mさんが台湾の代理店と打ち合わせを行い、必要な清水が確保できました。
また、国内を出航するまでに、バージにバラスト(※注6)用のポンプとホース、発電機、ランプウェイ、台用の尺角などを積み、バージ運行会社の監督さんにポンプの操作をお願いするなど、陸揚げ作業に備えました。

N.M事前調査の時に、潮汐の差が出ないことが分かりましたので、国内でできることは、いろいろと備えていきました。ただ、高雄の人たちは、自走での陸揚げ作業や、バージでの作業実績がほとんどありませんでした。ですから、作業内容を代理店や作業会社に理解してもらうことが大変でした。協力的な作業会社でしたので助かったのですが、もしそうでなかったら、もっと大変なことになったかもしれないですね。

H.H船も小さいから台風がきたら石垣島や沖縄に逃げようとか、沖縄の代理店とも打合せをして、万が一のために備えたよね。

N.M現地での揚荷役もですが、航海がね……。船は別会社に貸してもらいましたが、運航は当社が主体で管理ということでしたので、いつ到着するのか等の運航計画を自分たちで立てました。船会社や在来船を運航している会社へ相談したり、社内の船長経験者にも相談したりしました。あわせて、B/L等の書類関係は自分たちで発行することになりました。当時は、そのような業務に慣れていませんでしたので、国際営業チームにも協力をしてもらって処理しました。恐らく競合会社からは「お手並み拝見」という目で見られていたのだろうね。
お客様も、「国内では実績があっても、海外ではどうなのかな?」と考えられていたようでした。会社の中では、本社のほうは『やれる、やれる』と盛り上がっていたみたいですが、実際に作業するのは関西支店港運グループ……(笑)。

H.H本当に大変だったけどね。

I.Kこのようなことは、なかなかやる機会のない作業ですので、ぜひ若手にも携わるチャンスがあれば挑戦していきたいです。今後も当社がある以上は、この作業ができるように引き継いでいきたいですね。

K.Tここまで大がかりな荷役は、なかなかないので、ぜひその技術を国内でも活かせるようにしたいです。

  • 注4:船上がフラットな台船。
  • 注5:船と岸壁とを橋渡しして、貨物を出し入れするための荷役設備。
  • 注6:船体のバランスを安定して保つために、船底やタンクに積載する脚荷。水、油、砂、砂利等が用いられる。

やろうとしていることを理解してもらうことがスタート
立場を超えて挑んだからこそ味わえた現場の仕事の醍醐味

N.M国内外を合わせると関係する会社の数が多くなり、手配、準備していかなければならないことも増えました。円滑に業務を進ませ、予定どおり届けられるように、トラブルを少しでも回避できるように調整していくことが、当社の仕事かと思いますね。

H.H私たちの長い経験を活かして、種々の問題にぶつかりながらも解決していき、船を動かし、荷役を行っています。しかし、海外の役所とのやりとり、法律関係については、現地の船会社や代理店にお願いするため、現地へ赴きます。なかなかコンテナのバースでは、このような業務を行うこと自体少ないので、そのあたりも調整を密にして進めていかなければ達成できません。

K.T私たちは過去の先輩がたの資料を参考にさせてもらうことがありますので、先輩がたが行ってきたことは想像できました。直接お話をうかがうと、ゼロから作り上げる力というのはすごいな、とあらためて思います。

N.M昔はRTGの積み卸ろしは水上クレーンで吊って行なっていました。今は殆ど自走ですね。

H.H業務が無事に完了したことももちろん嬉しかったけど、任務完了時に飲んだ酒の味は格別でしたね。

N.M台湾の港には日本のかたもいらっしゃり、みなさん協力的に対応してくれました。

H.H酒のほうも協力してもらいましたよね(笑)。
N.Mさんは中国大陸の方で駐在していたことがあったので、心強かったですね。私のつたない英語だけで伝わるのか不安でしたが、現地語で話をするとやはり違いましたね。

N.M現場の仕事というのは、やろうとしていることを、先ず理解してもらうことから始まりますからね。あのときは輸送を成功させるために、お客様、船会社、代理店、作業会社のみなさんに尽力いただきました。あの一体感は、現場の仕事だからこそ味わえる醍醐味だと思いますね。

H.H港運の魅力はやっぱり『やりがい』だろうね。実際にモノに触れて輸送に携わる。それが完遂した時の達成感ということだね。

K.Tわかります。下準備して山を越えた時が一番楽しく思います。

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